視線入力とは
使用者がモニターに映った文字を見つめると、その眼球の動きをカメラがとらえて、文字を入力していきます。入力では、顔を動かさず、文字を見続けることが大事です。何秒でその文字を決定するか、設定を調節することができます。たとえば1.5秒で決定する設定にすると、1.4秒では入力できません。1.5秒、一つの文字を見続けるのは訓練が必要です。かといってより短い時間で決定するように設定すると、タッチミスが増えてしまいます。さらに、私たちの入力方法と違い、推敲して文章を入れ替えたり、書き換えたりすることは不可能です。そもそも視線入力は、必要最小限の意思疎通のためのツール。長い文章を書くことには対応していません。長い文章を書くには、頭の中で論理的に文章を整理して組み立てておくことが必要です。
視線入力という特殊な入力方法でありながら、森さんの文章は論理的で骨格がしっかりしています。余計な修飾はないのに、読み手の心に情景がありありと浮かびます。タッチミスによる誤字脱字もありません。森さんの中に横たわる豊かな知性と情熱に、私は心を奪われました。